不妊治療を通じてやめたこと
私が人生において手に入れたいと願った、いくつかのもの。「子ども」は最後まで残っていた目標でした。
2人目を妊娠し出産したことで、もう不妊治療をしなくてよくなりました。大きな課題に一旦決着がついた形です。
振り返ると、私の人生にとって不妊治療をしていた期間は、とてもたくさんのものを得た時間でした。
1.あるべき自分を掲げるのをやめた
治療のおかげで、私は自分を大切にすることを学びました。身体に無理をかけて、あるべき自分を目指すのをやめました。
あるべき自分を手放すのは辛かったです。30代になるまで、それこそが私だと思っていたからです。
人よりも頑張っている私。ボランティア活動をしている私。物事の処理が早くて、正しい判断ができる私。楽しい人やコトにたくさん出会っている、輝いてる私。飲み会には常に参加。
子どもを授かるためじゃなかったら、とてもじゃないけど手放せなかった自分。自分だと思っていたイメージ。
それらを手放した時は、友だちに会っても、うまく話せなかったです。自分が何者かさえ分からなくなってしまって。
ただ、徐々に慣れてきました。それと同時に、身体が悲鳴を上げていたことに気づきました。もう、無理はしません。
2.夫に気を遣って口をつぐむのをやめた
結婚当初から、夫にはポジティブなこともネガティブなことも話していました。
ただ、自分が本当に感じていることを全部言うことを覚悟したのは、2人目妊娠の直前です。
その頃、夫に調子に乗った発言が増えてきたように感じて、離婚覚悟で率直なフィードバックをしました。
夫は数日黙り込みましたが、受け止めてくれました。それから、パートナーシップが一段深まった気がしています。
これからも、夫には全部言うことを覚悟しています。何か違和感があったら、見逃さずに必ず言います。
それが夫と幸せに長く生きることにつながると、今は確信しています。
3.仕事を頑張ることで自分の価値を確かめようとするのをやめた。
仕事は大切です。でも子どもを授かるまでは、不妊治療が一番、仕事は二の次にしようと、こっそり決めました。
もちろん職場にいる時は頑張ります。ただ、体調悪くても、ストレスでギリギリでも頑張る、みたいなのはやめました。
そうしたら、仕事の評価も上がりました。上司から「いつも楽しそうに仕事をしているね」「周りにも良い影響を与えているよ」と言われました。
これまで、自分の価値を確かめるために頑張っていたのかもしれないと感じました。見えない誰かに否定されないために、反撃の余地を与えないために。
もう、そういうのはやめました。楽しく仕事をした方がいいのだから、そうすればよかったんです。
4.便利な人でいようとするのをやめた
誰かにとって便利な人でいようとするのをやめました。飲み会には必ず参加する、頼まれたら断らない人。
私は人付き合いが苦手です。だからこそ、無理しても相手の気持ちに沿おうとしてしまっていました。
とりあえず妊娠するために、飲み会の参加を断り始めました。ゆっくり過ごすため、休日の予定もほとんど断りました。
人が周りから遠ざかった気がしました。でも、しばらくしてから、あまりにも多くの人と会い過ぎていて、それがストレスだったことに気づきました。
今はあまり多くの人と会っていません。ただ、大切なつながりは残っています。
また子どもの手が離れれば、新しいつながりを作るかもしれないし、昔のつながりも復活するかもしれません。自由です。
5.優しくない自分を責めるのをやめた。
自分を優先する行動は、私がもともと持っている「自分は優しくない」というコンプレックスとの戦いでした。
なんでそんなに自分を責めていたんでしょうか。自分らしくいてはいけないと思っていました。呪いみたいに。
自分の身体や気持ちに沿った行動を増やしていったら、うまく行くことが増えました。少しずつ、そのままの自分でいいと感じられるようになりました。
優しさって、自分を犠牲にして相手を立てることではなかったんです。そもそも相手は、私が犠牲になることなんて望んでないばかりか、気づきもしません。
自分でいたら、私は幸せになれるし、それを見ている人も幸せになれる。
そういうことだったんです。
不妊治療を経て得たことのおかげで、これからの人生が自由になりました。40代がますます楽しみです。